「硝子の涙」は、銅部材の表面にシリカ(ガラス)成分を含む薄膜を形成する工業用ガラスコーティング剤です。このガラス層が銅表面と化学的に結合し、優れた防錆性能を提供します。

銅部材における防錆性能の必要性

銅は耐食性に優れた金属ですが、以下の環境では腐食が進行しやすく、防錆対策が求められます。
これらの腐食要因を防ぐために、適切な防錆処理を施すことで、銅の美観維持と耐久性向上が可能になります。

酸化による変色(黒ずみ・緑青)

空気中の酸素と反応し、黒ずみや緑青(青緑色の錆)が発生します。特に湿気の多い環境では進行が早まります。

水分・塩分による腐食

海岸地域や湿度の高い環境では、水分や塩分による点腐食や孔食(ピンホール状の腐食)が発生しやすくなります。

硫黄・酸性ガスとの反応

工業地帯や温泉地など、硫黄や酸性ガスを含む環境では、硫化銅が形成され、変色や腐食が進みやすくなります。

ガルバニック腐食(異種金属との接触)

アルミや鉄と接触すると、電位差による腐食が生じ、銅側が溶解することがあります。

銅部材における防錆性能向上を可能にする「硝子の涙」

「硝子の涙」は、銅部材の表面にシリカ(ガラス)成分を含む薄膜を形成する工業用ガラスコーティング剤です。このガラス層が銅表面と化学的に結合し、優れた防錆性能を提供します。
また、ガラス膜は高い耐久性と耐候性を持ち、水分や酸化による変色・腐食から部材を保護します。さらに、200nm程度の薄膜でありながら、均一で強固な被膜を形成し、長期的な性能維持が可能です。これにより、銅部材の防錆性能と耐久性の向上が実現します。

「硝子の涙」と主な防錆性能を高める方法との比較

方法 概要・原理 防錆性能 耐久性
硝子の涙 シリカ(ガラス)成分が表面に結合し、耐久性の高いガラス被膜を形成。 酸化や湿気、塩分に強く、長期間の防錆効果を発揮。特に硫黄や酸性ガスにも耐性を持つ。 高温や湿潤環境でも劣化しにくく、定期的なメンテナンスが少なく済む。
クリアラッカー塗装 銅表面に透明なラッカー(樹脂塗料)を塗布し、酸素や湿気を遮断。 一定期間は防錆効果があるが、傷や剥がれが生じると酸化が進行しやすい。 紫外線や摩耗で劣化しやすく、一定期間ごとに再塗装が必要。
防錆油・ワックス処理 油膜やワックスを塗布し、水や酸素の接触を防ぐ。 一時的な防錆効果があるが、塗布が薄くなると防錆性能が低下。 定期的な塗り直しが必要で、長期間維持するには頻繁なメンテナンスが必要。
電解研磨処理 表面の凹凸を除去し、より均一な酸化皮膜を形成。 酸化による変色や腐食を抑えられるが、完全に防錆するわけではない。 表面が滑らかになり、一定の耐食性は向上するが、過酷な環境下では追加の防錆処理が推奨される。
クロム・ニッケルめっき 銅表面にクロムやニッケルの薄膜を形成し、耐食性を向上。 高い防錆効果があるが、めっきが剥がれると腐食が進行しやすい。 美観向上と耐摩耗性に優れるが、定期的なメンテナンスが必要。
硫化処理(黒染め) 表面を意図的に黒化し、酸化を抑制する皮膜を形成。 見た目の変色を抑えられるが、防錆性能は限定的で追加の保護処理が必要。 摩耗や薬品の影響で皮膜が薄くなるため、メンテナンスが必要。

「硝子の涙」による銅部材の防錆性能向上事例

銅板の右側半分に「硝子の涙」を施工、屋外に1週間放置しました。
左側の未施工部分には錆が見られますが、右側の施工部分は発錆がありません。

銅製インテリア家具の防錆
アンティーク家具の取っ手部分に「硝子の涙」を施工。経年による風合いの変化(変色)を楽しむのもアンティーク家具の魅力ですが、皮脂が付着する部分に施工することで劣化を抑制することが可能です。